変形性膝関節症

変形性膝関節症とは

変形性膝関節症とは膝関節の炎症・痛み・腫れ・変形などを起こす疾患で、主に加齢によって生じます。また肥満や運動不足などの生活習慣も発症や進行に大きく関わっています。膝関節の軟骨が摩耗して衝撃を吸収できなくなり、膝関節が炎症を起こして激しい痛みが生じます。

さらに、膝に痛みがあると歩行や運動の機会が大幅に減り、脚の筋力が落ちて膝への負担がさらに増えることで、進行しやすい疾患と言われといます。生活に支障を及ぼさないようにするためには、早めに受診して適切な治療や理学療法を受け、筋力を落とさないようにすることが重要です。

変形性膝関節症の症状

変形性膝関節症の症状主な症状として、膝の痛みや腫れがあります。進行すると、正座や膝を伸ばすことができなくなるなど動作障害を起こします。最も多い症状であり、最初に現れるのは膝の痛みです。立ち上がる、歩きはじめるなど動作の際に起こりやすくなっています。階段昇降でも響くような痛みを生じ、膝が不安定に感じて階段を降りるのが怖いと感じることもあります。

最初は安静にしていれば痛みを感じることはありませんが、進行すると安静を保っていても痛みが続くようになってしまいます。腫れは、膝に水がたまって生じる症状です。関節が炎症を起こして膝に水がたまり、動きが悪くなります。進行すると膝が変形して膝関節全体が硬くなり、可動域が狭くなって、正座や、膝を伸ばせなくなります。

変形性膝関節症の原因

主な原因は加齢ですが、肥満や筋力の低下も発症の大きなリスクになります。
また、膝に負担がかかる要因はこれ以外にもたくさんあり、日常的な動作や癖も発症の原因となります。

加齢

加齢膝関節表面の軟骨は加齢によって変性して傷付きやすくなります。その状態で負担がかかると、膝関節の軟骨が徐々に摩耗してしまい、変形性膝関節症の発症につながります。

肥満

肥満歩く際には膝に体重の約3倍という、とても大きな負荷がかかります。肥満で体重が重くなれば負担はそれだけ大きくなり、変形性膝関節症の発症・悪化のリスクが大幅に上昇します。

筋力低下

筋力低下筋力が高ければ歩行の際に外部からの衝撃や負担を受け止めて膝を支えられるため、膝関節への負担を軽減できます。筋力が低下すると衝撃のほとんどを膝関節が受けることになるため、摩耗が早く進んで変形性膝関節症の発症・悪化のリスクが上昇します。

変形性膝関節症の検査・診断

変形性膝関節症の検査・診断症状が起こりはじめた時期と症状の変化、痛みなどを起こしやすい状況、これまでのケガや病歴などをくわしくうかがいます。触診で膝関節の変形や腫れの有無を確認し、動きもチェックします。X線検査を行って関節や骨、軟骨の状態を確認します。

膝に関節液がたまっていて痛みが強い場合には関節液を採取して分析する検査を行うこともあります。こうした診察で進行状態をしっかり把握し、適切な治療につなげます。

変形性膝関節症の治療法

状態やライフスタイルなどを考慮した上で、理学療法、薬物療法、注射、装具療法などを適切に組み合わせた治療を行います。
痛みの緩和や歩行などの日常的な動作の改善に加え、肥満や運動不足の解消も重要です。

理学療法

理学療法奥までしっかり温める・動きを改善する物理療法に加え、筋力をアップさせるトレーニングが重要になってきます。関節周囲の筋力をアップさせることで関節を安定させて、炎症や痛みを起こしにくくします。特に、大腿四頭筋の筋力強化は高い効果が見込めます。

当院では膝の痛みの根本的な解消に有効とされるスクワットや膝を伸ばしたまま脚を上げるSLR訓練などをしっかり指導しています。無理のない範囲で行えるようにしていますので、安心してご相談ください。

薬物療法

薬物療法痛み止めの内服、湿布などの外用剤、坐薬などがあります。内服以外の痛み止めでも胃腸炎を起こすことがありますので慎重に投与し、胃腸症状が起こった場合には薬の種類を変更することで対応できます。また、胃薬を一緒に処方することもあります。

注射

注射炎症が強い場合や短期間で鎮めたい場合にはステロイド(副腎皮質ホルモン)を入れた局所麻酔剤の注射が、高い効果を見込めます。軟骨の保護や関節のすべりを改善するヒアルロン酸ナトリウムは、痛みの改善につながることもあります。繰り返し行うことが可能です。

装具療法

装具療法O脚が原因になって関節の内側に負担がかかっている場合には、足底板で体重が外側にかかるようにすることで症状を改善につながることがよくあります。足底板は靴の中敷きのような装具で、外側が少し高くなっています。

keyboard_arrow_up